2005年外国人による日本語弁論大会 発表原稿
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京都、調和の街
アフシン カランタリ
イラン
BANI ADAM AZAYE YEK PEYKARAND
KE DAR AFARI NSH ZE YEK GOHARAND
AGAR OZVI BE DARD AVARAD ROOZGAR
DEGAR OZA HA RA NAMANAD GHARAR
TO KAZ MEHNATE DI GARAN BI GHAMI
NASHAYAD KE NAMAT NAHAND ADAMI

アダムのしそん(子孫)は人のしんたい(身体)の一部をなすものであり
一つのほんしつ(本質)に基づいてそうぞう(創造)された
うんめい(運命)が身体の一部に痛みをもたらしたなら
他の部分もやすらか(安らか)ではいられまい
もし他の人々のくつう(苦痛)を悲しまぬなら
なんじ(汝)の名は人であるにふさわしくなかろう

 これは、イランの60 0 年前の有名な詩人サアディーの詩です。
 私はイランの首都テヘラン、シルクロードの西側から専門の地震工学を勉強するために日本にやってきました。
日本の昔ながらの伝統的な生活について知りたいと思ったから日本の、京都を選びました。
 京都は数え切れないほどの歴史的な建造物など、文化遺産に恵まれていながら外国人の旅行者そして多くの留学生も集まり、様々な文化の出会う場所になっています。
京都はこれら全てを国際社会の一員として大事にしてやさしく守ってくれるのだと私は思います。
 毎朝、私が家を出るとき、いつもニコニコしているお婆さんに会います。
お婆さんはお花に水をやったり、お地蔵さんにお花を供えたり、そして長い間お地蔵さんに手を合わせて拝んだりしています。
もしかしたら、遠くにいてお母さんのことを忘れてしまった息子さんや娘さんのために祈っているのかもしれません。
お婆さんは分厚い眼鏡の向こう側から、私に気がつくと、「おはようございます。いってらっしゃい」といってくれます。
だから私も「おはようございます!いってきます」といいます。
お婆さんは「いってらっしゃい」で私のことも守ってくれるのです。
これが私の京都の好きなところです。
京都は私の故郷です。
 京都に来て約一年半後2 0 0 3 年1 2 月2 6 日イランの古都バムで大きな地震がありました。
京都大学で地震について勉強しているイラン人留学生として、バムを訪問する機会が訪れました。
私は自分の調査の傍ら、ペルシア語と日本語の通訳をして、日本のチームが現地の人々とコミュニケーションをとるお手伝いをしました。
 バムは京都のように古い文化遺産に恵まれた古都です。
ただ、大きな違いは砂漠のまんなか(真ん中)にあることです。
砂漠の真ん中にもかかわらずバムが繁栄したのはカナートのおかげです。
昔から人々は地面にカナートというトンネルを掘ってきました。
農業用水や生活用水を山から街に引いてくるためです。
 私たちはバムである集落に入って歩いていました。
そこでひとりの年老いた女性に会いました。
 「地震の直後は街が死んでしまったようでした」
「人助けをできる人は誰もいませんでした」
「瓦礫の下の息子を助け出したくても、手伝ってくれる人を見つけることができませんでした。

「水もないし、電気もありませんでした。

「カナートも被害を受けて、農業のための水も供給できません。

と彼女は話してくれました。

 「しかし、まもなく国内や国外からたくさんのボランティアの人々がやってきて、救援活動を始めてくれました。
「息子は生きて救助されました。
私は外国から来たお医者さんに、息子を助けてください、とお願いしました。
 地震で経験したことを話しながら、そして、そのお医者さんと神様に感謝しながら、女性は涙を流していました。
 地球で今私たちは希望とともに多くの問題も抱えた2 1 世紀に生きています。
最近世界のいろいろな場所で自然災害は大きな悲しみをもたらしましたが、同時に世界のあちこちで美しい人間愛を思い出させてくれました。
人々は国境を越えて、どこからでもボランティアとして助けの手を差し伸べたのです。
 地球を守って自然を大事にすることが人間を守ることにつながると私は思っています。
これを実現するために私たちは精一杯頑張らなければなりません。
 京都は、近代的な都市の中に、自然の緑や歴史的な文化財を保存しながら、世界の人々を寛容につみこむ国際都市です。
京都はすみやすい環境を、これまでも守ってきましたし、未来のためにも守りつづけています。
京都はこの点で世界のモデルになれる街だと思います。
 私たちは、京都のこの点をみならって、自然と文化と人間を大切にしましょう。


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