2005年外国人による日本語弁論大会 発表原稿
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チョコレートで結ぶ絆
キム ユンヒ
韓国
  わたしは、ソウル女子大学から今同志社女子大学に一年間の交換留学生として来ている金 允姫(キム ユンヒ)と申します。
今日は「チョコレート」を通した絆について話したいと思います。
 歴史的にみると、「チョコレート」は、アステカ文明の時代は、不老長寿の秘薬だったそうです。
また、昔から糖尿病や癌を抑制し、虫歯を予防するなど、病気を防ぐ効果があることで知られています。
さらにストレス解消を促進させ、集中力を高めるなど、精神的な安静を維持させるのにとても役に立つと言われてきました。
つまり、「薬」の役割を持っていました。
でも、今は、「御菓子」です。
ハイキングに持って行ったり、ちょっと疲れたとき、お腹がすいた時の小さな楽しみです。 それから、登山者は、いざというときの非常食であるとも聞いています。
韓国では、憂鬱なとき、疲れたとき、無気力なとき、チョコレートを良く食べます。
世界に目を向けると、例えば、アメリカでは、大人も子供も、むしゃむしゃとよく食べるのを見かけます。
ヨーロッパなどでは、お酒の友としても、とてもおしゃれな食べ方をする場所もあるようです。
日本では、バレンタインデーに女性から男性への愛の告白の一つの道具としてもチョコレートは重要な役割を担っていると聞いています。  
私には、家族のように親しくしている丸山さんという家族がいます。
今日は「丸山さんとチョコレート」と通した、出来事を話したいと思います。
それは、日本に来て間もない5 月の連休前のことでした。 私は、かの有名な「五月病」になったようで、来日して初めて「無気力感、不安感」に襲われ、とても孤独な日々でした。 連休も憂鬱だなぁと思っていたところに、丸山さん一家の「あさ子さん」というおねえさんから、手紙をいただきました。
「連休に横須賀へ遊びにおいでよ」という内容でした。
私は、その誘いを受けて、連休は横須賀で丸山さん家族と過ごしました。
それは、「五月病」の特効薬でした。
すっかり元気を取り戻し、その後は楽しい学校生活を送りました。
このときのあさこさんの手紙には、実は、「チョコレート」が添えられていたのです。 手紙をもらっただけでもとても嬉しかったのですが、そのとき、同封されていたチョコレートは、私には「笑顔を取り戻す薬」のようなものだったように思います。
食べたら、なんだか、とても、プラス思考になりました。
これは、科学的にみるとチョコレートの成分の効能なのかも知れません。
しかし私は、それよりも、あさこさんの心遣いと温かさが、チョコレートの成分以上に元気を与えてくれたのだと思います。
そのときのチョコレートの味、今でも忘れることが出来ません。 
 ところで、丸山さん一家のことについて、もう少し、詳しく紹介したいと思います。 きかけは私がソウル女子大2 年生のとき、初めて日本に来た時のことです。
友人の叔母さんの紹介で出会いました。
そのころは、私はまだ日本語が十分話せず、身振り手振りと片言の日本語で、何とかコミュニケーションをとるという状態でした。
しかし、丸山さんの家族は、みなさん、とても温かく接してくださいました。
最近は、私も日本語が上達し、芸能人の話題から、歴史や文学まで、色々ディスカッションすることができます。
それも、表面的な話題というより、かなり内容の深いことまで話し合うことがあります。
 ちょっとデリケートな話題、例えば、北朝鮮の話題、在日韓国人の問題、竹島の問題など、政治的な話題も率直に意見を述べることもあります。
もちろん、それだけではありません。
普通の家族の一員のように、台所にはいり、一緒に料理を作って食べたり、ショッピングに行ったりして、その家の娘のように扱ってもらえます。
 だから、韓国の実家に帰るのと同じように丸山さんのお宅に伺うと、日本の実家に帰るというようなくつろぎを与えてくれるのです。
時々、丸山さんの家族からお便りを頂くときも、「日本の家族より」と書かれていると、涙が出るほど嬉しくなります。
そして、「困ったことがあったら、必ず連絡してくださいね」という一文、本当に、温かさを感じます。
今、特に困った場面に遭遇していないから、連絡することはないけれど、その一言があるだけで、どれだけ、私は元気づけられているのかということを感じます。
 このような、丸山さんの家族との交流は、私にとっては、「元気をくれるチョコレート」のような存在だと感じます。
本当に不思議なパワーを与えてくれる存在です。
韓国にいるときには、あまり感じなかったけれど、日本に留学して一人いると、人の温かさ、つながりの大切さをしみじみ感じます。
丸山さんの家族との交流は、考えてみると、韓国と日本との草の根の交流の一つと言えるかもしれません。
それを可能にしてくれているのは、丸山さん家族の「不思議な力をくれる温かさ」です。
「丸山チョコレート」と名づけてもいいのかもしれません。
国と国との交流、人と人の交流の方法は、さまざまですが、肩に力の入ったものではなく、すぐそばにいてくれて、疲れたとき、元気がほしいとき、不思議なパワーをくれる、そんなチョコレートのような存在であること、これが大切なのではないかと思います。
私は、これを「丸山チョコレート」と名づけたいです。
私は、将来、どのような職業に就くかわかりませんが、「丸山チョコレート」のような、精神を大切にしたいと思っています。


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