「日本でのボランティア活動の
経験から考えたこと」
オウ バイキン
  私は2001年4月に中国青島市から日本に参りました。
青島市は日本にも知られている「青島ビール」の生産地です。
来てからの1年半の間に、数多くのお寺、神社に行き、京の三大祭りも見学しました。
それ以外に、社会活動に参加し、中国と異なる日本社会を実感しました。

 大学の校内にはボランティアを募集する掲示がいつも張ってあります。
同じゼミで勉強している日本人の友達の中でボランティア活動に参加する人はかなりいます。
自閉症の子供と一緒に遊ぶとか、不登校の学生とコミュニケーションするとか、山村小学校を訪問するとか、活動内容はとても豊富です。
こういう影響で私もボランティア活動について関心を持ちはじめました。
そして、活動に参加しました。
その中で、一番印象に残ったのは、「ふるさと京都体験村」のキャンプに参加したことです。
この活動は私に二つの感動を与えました。
それは、日本の小学生の自立心と勇敢な態度、および活動組織者のすばらしいアイディアと入念な準備です。

 実際に参加した時、本当に驚きました。
まず、持参した荷物についての驚きです。
10歳前後の女の子と男の子が、荷物を背で負い、手で持ち、京都の各町から集まりました。
荷物には二日間の生活用品や着替えだけではなく、薄い布団や毛布も入っています。
かなり大きくて重たいのです。背の低い生徒の場合、身体の半分ぐらいが荷物に隠れてしまうほどでした。
それを見て、「かわいい。すごい。大丈夫?」と思いながらも、びっくりしました。
さらに、驚いたのは生徒たちがけがをしたことに対する子供たち自身とスタッフの態度です。
子供たちはナイフややすりなど鋭い道具を使って、自分で二日間に使用する食器を竹の原材料で作りました。
途中、けがをした子が3人いましたが、泣かずに、スタッフに傷口を処理してもらって、少し休憩した後、作り続けました。
それを見て、「偉いな!」と思い、感動しました。

 日本の小学生の様子を見て、中国の子供の現状を考えました。
中国では、朝の登校と午後の退校の時間帯に、親や祖父母がかばんを持ち、子供を学校の校門前に送り迎えすることは、平日、どの町にも見られます。
キャンプ生活はもちろん、少し危険がある活動であれば、参加しない子、または参加させない親がかなりいます。中国の親は、ナイフなど危ない道具をあまり子供に使わせません。
万一、けがをした場合、それ以上はやらせないのが普通です。甘やかされて育つことが、中国の家庭教育でもっとも大きな問題になっています。
「小皇帝」と呼ばれている子供は家で親の手伝いをせず、学校では食べ物や服やゲームなどを他の子と比べます。
両親はただ子供の物質的な欲望を満足させますが、精神教育と意志の訓練を軽視しています。
このような状態が続くと、中国の未来はどうなるのでしょうか?
多くの中国人はこの問題に悩まされています。

 現在、私は大学で「少子・高齢化と社会保障に関する中国および日本の比較研究」について勉強しています。
中国は1980年に夫婦一組あたり出産してよい子供が一人であることを国家の政策として実行し始めました。世界中でもっとも人口の多い国ですが、「一人っ子政策」を実施して以来、子供の数が年々減少しています。
「一人っ子政策」の実行は中国の社会的な進歩と経済的な発展を促進はしましたが、少子高齢化などの問題をもたらしました。少子化問題の中でもっとも急迫する問題は教育問題だと思います。
20世紀の60年代、70年代に苦難に遭った親は、自分の唯一の子供に苦労させたくないと思い、何でも満足させようとします。
こういう間違った教育観念をどのように正せばよいのでしょうか?社会、家庭などは各自の役割を発揮しなければならないと思います。

 一方、日本は「一人っ子政策」を実施してはいませんが、現実は一人っ子の状態になっています。
そして、不登校、いじめ、少年犯罪などの問題が後を絶ちません。
それはなぜなのでしょうか?これらの問題は将来の中国でも生じる可能性があります。
ですから、中国がこういうことを予見し、学校教育や家庭教育で対応する方法を考えるべきだと思います。

 現在、中国で速く進んでいる高齢化により生じた高齢者の扶養などの問題は、少子化問題よりもっと厳しいです。
中国と日本の高齢化問題が生じる背景や中国と日本の人口の構造は違いますので、問題解決への対策も異なるとは思いますが、日本の社会保障制度はアジアでもっとも進んでいます。
それで、日本の経験を学ぶことは中国の制度改革に役立つにちがいありません。
幸い、大学院への進学が決まりましたので、今後も、この研究を続けたいと思っています。
日本に留学しているこの機会を十分利用し、知識や研究方法を学ぶとともに、いろいろな社会経験をして、視野を広げたいと考えています。

 学業が終わってから、私は中国に戻ります。
そして、まず、ボランティア活動がまだ普及していない中国でボランティアの組織を作ろうと考えています。
中国の人々の社会に貢献する意識、他人を助ける意識を涵養すると同時に、私たち中国人自身の社会貢献能力も磨くことができます。
もう一つ大きな夢は立派な老人ホームを作ることです。
単に老人たちを助けるだけではなく、彼ら自身の余力を発揮させる機会を作り、老人たちが生き生きとした生活を送れるようにすることは、このホームの特徴です。
かなり難しいことだとは思いますが、目標の実現に、少しずつ近づいていきたいと望んでいます。


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