「超高齢社会日本」
ソン ジョンミン
 私はある日、テレビニュースで高齢者人口に関する調査の結果を聞いて驚きました。
それは今年敬老の日を迎えて総務省が発表した高齢者人口の数値でした。
その調査によると2002年9月、日本の65歳以上の高齢者人口は2362万人、総人口の18.5%であり、その上に75歳以上の後期高齢者は1003万人で初めて1000万人を超えたということでした。
私の国である韓国も高齢者人口が毎年増えて行き、これから韓国も本格的に高齢社会が到来することを考えて見れば、今日本の高齢者人口の現実は大きな意味を持っていると思います。
私はさらに考えました。
 人口の大きな部分を占めている高齢者について、私たちはどのように思っているのだろう。
 超高齢社会に向かっている今の日本に必要なのは一体何なのだろう。
もちろん日本という国についてよく知っているわけではありません。日本でたった半年生活しているだけですから…。
 ですから日本へ来てやっているボランティアの経験を通して、いろいろ皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
 私は今年5月から‘バプテスト’という老人保健施設でボランティアをやっています。
日本でボランティアをするようになった理由は、韓国でも老人福祉を専攻している私にきっといい経験になるはずだと思ったからです。
 ここでのボランティアは、私が思ったより以上に私の良い体験になっています。
私がその施設でやっているボランティアの内容は集団リハビリ介助、食事補助、作業療法の介助、利用者の話し相手などです。利用者と一緒に体操をしたり、色紙で貼り絵をしたり、残るほとんどの時間は利用者に声を掛けて話したりしています。
 私がここでボランティアをしながらちょっと驚いたのは、ここではなるべく利用者に全てのことを自分の力でさせるような雰囲気があることでした。
 “大変だが自分で頑張ってやろう”という意識を職員も利用者も持っているようです。
寝たきりや痴呆症の高齢者も自分のことは自分でやりたいという最低限の意志があって初めて生きていると言えるし、周囲の人々もそれを助けるのが本当の介護ではないかと思いました。
 それから、また、利用者たちと話をすると老いについて、もっといろいろ考え込むようになりました。
 もちろん私は外国人だから日本語でうまく表現できないし、その上お年寄りの発音はなかなか聞き取りにくくて大変ですが、私も相手も頑張って話します。
 大事なことは、話をすることそれ自体ではないでしょうか。
 高齢者について言えば、いくら必要なものを全て与えてもらっていても、何でもしてもらっている状態でも、「寂しい」ということがあるわけです。ですから話をすることはとても大事なことだと思います。

 私の場合、日本と韓国の習慣の違いとか、韓国の生活等を話したり、利用者に日本に関して聞いたりしています。
 例えば、食事マナーに関する話題が出ると、“日本ではどういうふうな食べ方がありますか”と聞いたり、韓国の食べ方を手を使って説明したりします。
特に私が何かについて聞くと、お年寄りはとても嬉しそうな顔をしていろいろ教えてくれます。
 それに、私を勇気付けてくれる事さえあります。
“あなた、日本語が上手になったね。日本の生活にはもう慣れてきたの。”というふうに…。
 そんな時は私こそ利用者達に助けてもらっているような気がします。
 それ以外にも今までの私の偏見を考え直してくれるような事はたくさんありました。

 ある日の事でした。
 そこで小さな音楽会が開かれました。利用者たちはピアノの周りに集まっていました。
ピアノを弾いていたのは私でも、そこの職員でもなくて、そこのお年寄りでした。目もよく見えないし、指の感覚も鈍くてうまく弾けているわけではありませんでしたが、そのお年寄りは一所懸命ピアノを弾いてくれました。それからほかの利用者達と、職員達、私は皆声を揃えて歌いました。
 本当に私にとっては忘れられない一瞬でした。
目も良く見えないのに頑張ってピアノを弾いてくれたそのお年寄りの姿も、そこで歌った歌も、拍手しながら歌っていたみんなの嬉しそうな顔も…。

 今超高齢社会に向かっている日本の社会に必要なのはこのような事ではないかと思います。
 お年寄りに声を掛けて近寄る事、なんでも一緒にやってみる事…。

 皆さん、どうですか。
 お年寄りに声を掛けてみませんか。


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