日本での経験と将来の私
「私の抱負」
ゴ ギョウエイ
呉 暁頴
 「本格的な老人ホームを中国で作りたい」
 私が小さかった頃、中国は鎖国政策を取っていました。
経済が思うように行かないため、どこにでも、乞食−物乞いをする人たちが大勢いて、特にお年寄りの乞食をよく見かけました。
その時、「何故、彼らは普通の人と同じように生活できないのかな」とか「金持ちの人たちは何故彼らにいくらかあげないのかな。
そうすれば、彼らも一口のご飯の為に、乞食をしなくても済むでしょう」といった疑問をずっと持っていました。
しかし、私の幼い心の中で得た唯一の解答は「彼らは貧しい人たちだ」という答えでした。
たまに、大人たちの雑談から「また、どこどこで川が氾濫したらしい。
どこどこで飢饉が発生した」ということを耳にして、何か少し分かったような気がしました。
そして、いつからか私自身も物心つくようになり、子供の自分の心の中で、大きくなったらお金を一杯儲けて彼らの為に大きな部屋を建てて、特に晩年を幸せに送れるように、お年寄りの乞食たちを自分の力で養ってあげたいと考えるようになりました。

 中国は、80年代に入ると、改革開放政策が実施され、経済が飛躍的に発展しました。
そのせいか乞食の数が次第に減り、近年になると、都会では浮浪者以外は殆ど姿が消えました。
私が子供の頃考えていたことは、彼らの姿がなくなるにつれ、実現できなくなるように思えました。
でもよく見ると、乞食は確かにいなくなりましたが、その一方で、老人問題が日増しに大きな社会問題になりつつあることが分かってきたのです。
主な問題としては、まず医療施設の普及と生活条件の改善により、人々の平均寿命が大幅に伸び。
また一人っ子政策の実施などにより、老齢人口の比率が急速に高まっていること。
そして中国は国土が広く、人口が多いので、政府は全国民の基本的な衣食住問題の解決に力を入れていますが、老人ホーム建設などの福祉事業に当分目を向ける余裕がない、ということ。
最後に、両親の老後は自分らで世話するという伝統的な考え方を持つ若者が都市部を中心にして少なくなった、ということ。

 これらの諸問題を目の当たりにして、自分は考え込んでしまいました。
私はただこのまま生きていってはだめです。
何かを勉強して、そして自分の勉強したものを生かして、この問題だらけの社会に貢献しなければいけないと思いました。
こういう考え方の元で、仏教大学の社会福祉学科に入学したのです。
私は洋服を買う金を学費に充て、仕事を辞めて、もう一度テキストと向かい合い、日本で先進的な知識を学んで、将来国に帰って、日本と同じような老人ホームを設立することを決意しました。

 中国には、最低生活保証の「老人院」が国の社会福祉施設として昔からありました。
また近年、民間経営による営利的な老人ホームも結構出てきています。
しかし、これらの施設は設備が簡単で、単純な衣食生活を保障するだけで、医療衛生、精神文化、老人介護などの面では殆ど日程に上がっていません。
ですから、中国の老人ホームは、みんな仕方がないから行ったというのが現状です。
その中に入っている老人の殆どは世話してくれる人がいないか、または、いても世話してもらえない人たちばかりです。

 私は、昔のように人が年取ると、みな自分の子供に世話してもらうという考え方は非現実的だと思いますが、でも、現代に生きている老人は昔の老人より物質的、精神的に幸せに晩年を送れる、というのが文明進歩の当然の成り行きだと考えます。
将来中国に作るつもりの老人ホームは、医療施設とのつながりを強くして、各種必要設備が揃った、精神的、物質的に満足できる施設にしたい、と考えています。
入居者に自分の家よりも暖かいと思われる場所にしたいのです。

 自分の国にないものを自分の力で作るという事は、なんと生き甲斐のあることでしょう。
また、外国の先進的な考え方、やり方を自分の努力によって祖国に紹介することは、どんなに興奮することでしょう。
もちろん、この目標を達成するために少なくとも3つの要素が欠かせないと思います。
つまり、関係する学問的、実務的な知識と経済的な実力と人的関係です。
今の私はこの3つとも持っていません。
今のところはただの夢と分かっていますが、決して夢で終わらせたくありません。
この夢に命をかけて実現していきたいと考えています。
みんなも応援してくれると信じています。

 本格的な老人ホームは必ず中国で自分の努力とみんなの応援により実現できると思っています。


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