私の国と日本
「猫」
ザン ジョアン

   みなさん、こんにちは。
私はジョアンです。
今日、私は面白いカルチャーショックについて話したいと思っています。

 京都に住んでから、ショッピングに行くたびに、必ず猫の商品を見かけます。
猫の模様や形をした飾りとか服、猫を型どった食べものも人気があるようです。
日本人は結構猫が好きなんだなあと感じました。

 ある日、日本人の友人から小さなプレゼントをもらいました。
幸運をよぶ猫のお守りです。
「幸福」の「福」の字が書いてある小さくて赤いふくろの中に、親指の大きさぐらいの陶器の猫が入っていました。
丸々と太った猫は満面の笑みをうかべ、左手は顔のそばで手まねきをしていて、右手には「縁」という字が書かれた紙を持っていました。
また猫の背中には「恋愛成就」と書いてありました。
すると友達の意図がわかりました。
友達は私がボーイフレンドを見つけられるように、その猫のお守りをくれたのです。
私にはお守りで、なにかを願う習慣がありませんでした。
だから、その猫をもらうのは京都に着いて初めての文化体験でした。
その後、ショッピングに行った時、恋愛猫以外のさまざまな猫のお守りをみつけました。
健康とか事業とか学業などの猫のお守りです。
もちろん、その中で最も有名なまねき猫も含みます。
それほど猫のお守りの普及はめざましいのです。
日本人の友達にまねき猫の手まねきは何の意味があるのか聞くと、右手はお金を呼んで、左手はお客様を呼ぶ意味があるのだと教えてくれました。
私は犬もおなじ動作ができるのに、なぜまねき犬のようなおまもりがないのだろうと思いました。
猫は日本の社会では幸運の象徴だそうです。

 しかし、猫は私が育った文化では縁起がいいものではありません。
話を続ける前に、私の文化的バックグラウンドを話した方がいいと思います。
私はタイワンで生まれて、子供のときからたくさん中国の昔話も読みました。
猫は中国人の世界で縁起が悪いものと思われています。
なぜなら、猫は性格がひねくれていて、人間と親しくしないというマイナスイメージがかなりあるからです。
その上、猫はいつも真夜中に行動し、暗闇の中で光る猫の目は何かをたくらんでいるように不気味です。
だから、猫は中国の昔話では生命力が強い不死身のばけものとされていて、猫が出たら、やはり不幸なことが起きそうな気がします。
12才の時、家族といっしょにカナダに移民しました。
その時から、たくさん西洋文学の本を読みました。
西洋の文学で猫は魔女や鬼ばばを連想させます。
シェークスピアの本の中でも、猫が出てくるのは悲劇の前ぶれです。
つまり、猫は西洋の世界でも中国の世界でも邪悪と不幸の象徴なわけです。

 西洋と中国の不気味なイメージと比較すると、猫は日本では幸福を呼ぶ力がある動物とされています。
「となりのトトロ」の忘れられない猫バスは、日本の昔話の中で人を食べるばけものの形をしていますが、子供を食べる代わりに子供の願いをかなえてあげました。
「魔女の宅急便」の黒い猫はかわいくて、人間のように恋に悩みました。
おばけのような猫バスといつも邪悪なものを連想させる黒い猫は、日本では不気味な前兆ではなくて、人間をなぐさめて助けてくれる友達です。
ある日、日本のテレビ番組で、ある会社が猫を利用して盲導犬を訓練している場面を見ました。
猫は犬がへまをする時、しつけをし、犬が元気ではない時、猫は勇気づけます。
この不思議な場面を見て、猫は本当に日本人の社会でお守りの役割をしていると感じました。

 猫を通じて、日本、台湾、カナダによって、猫についての文化や印象のそれぞれの違いがわかってきました。
そして、私は国々の「猫文化」を少し理解しました。
日本はタイワンやカナダと違って猫にプラスのイメージを与えて、猫のいい面を伝えています。
日本で猫は幸福を招く動物と信じられていることがうかがえます。
それは日本に来てからうけたカルチャーショックの中で、1つの面白い体験だと思っています。

 


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