日本で得た知識や経験
「方言文化と国際交流」

 セキ リツゼン
石 立善



 皆さん、このコマーシャルを覚えていますか。
「勉強しまっせ、引越しのサカイ、ほんまかいな、そうかいな」。
実は、私はこの関西弁のコマーシャルに大きなカルチャーショックを受けて、大変苦労しました。
このコマーシャルを聞いた瞬間、「おかしいなあ」と私は思いました。
「引越しやさんは一体何を勉強するんですか、お客さんに対する勉強会でも開くんですか」と私はいろいろ考えました。
悩んだ末、日本人の友人に聞きました。
彼は「勉強するとは学習のことではなく、関西弁の言葉で、値引きを意味する。
」と教えてくれました。
しかし、日本語学校では標準語しか教えないので、私にとって、関西弁はまさに第二の外国語でした。
私は関西弁が分からないと、実際の生活に困るということに気がつきました。
それから、学校の勉強以外に、関西弁の「おおきに」、「あかん」、「なんぎ」、「好きやねん」といった言葉を自分で一生懸命覚えました。
いつのまにか、私は関西弁を話せる留学生になりました。

 この体験をきっかけに、私は「標準語とは何か、方言とは何か」を真剣に考えるようになりました。
そして、日本の言語文化がすこし分かったような気がします。
今の日本の標準語は、江戸時代の東京方言から成り立ったものです。
標準語も一種の方言だと言えるでしょう。
関西方言、九州方言、沖縄方言はそれぞれの地域のシンボルです。
方言の中にその地域の歴史、文化、習慣が入っています。
方言文化は食文化や服飾文化と同じように大事です。
私は「おいでやす」、「はんなり」、「おおきに」といった方言は、三十三間堂の国宝と同じく重要な価値を持つと思います。

 また、正式な場で使われる標準語と違って、方言を使うことにより、相手との距離を縮めることができますし、親近感も増してきます。
こうしたリラックスした雰囲気の中で、よりいっそうコミュニケーションをはかることができます。
今年の春、私は大阪から京都に引っ越しました。
同じ関西弁でも、大阪には大阪弁、京都には京都弁、和歌山には和歌山弁があることが分かりました。
方言文化の魅力を私は毎日のように実感しています。

 日本の方言を通して、私は自分の国の方言も再認識しました。
中国にはたくさんの方言があります。
特に広東語、上海語、北には北京語、天津語いろいろあります。
私の出身地、吉林省では東北語をしゃべります。
面白いのは関西方言と同じように、お笑いのニュアンスを持ち、漫才やコントの形で全国的に知られています。
しかし、急速な経済発展を遂げた中国では、マスメディアの普及により、若い人には、方言のことを「田舎ものみたい」、「格好悪い」という人が少なからずにいます。
方言がなくなる恐れがあります。
地方分権の声が高まる今、中国も日本も、方言をはじめとする地域文化の重要性を見直す必要があるのではないでしょうか。
方言を話すことは、その地域の個性を守る最も友好な方法だと私は固く信じています。
それは国際交流にも大変役に立ちます。

 今の国際交流は、国の外務省から、地方民間団体まで盛んに行われています。
私の考えている国際交流は、外国人が知らない土地に行って、その土地の食べ物を食べて、着るものを着て、話されている言葉を使うことです。
これから、方言を通して日本文化と地域社会を理解する外国人がどんどん増えるでしょう。

 私は今、一つの夢があります。
将来、外国人による方言の弁論大会を作りたいと思います。
北海道から沖縄までの日本各地の方言を話せる外国人を集めて、日本人と意見を交換して、輪を広げ、国際交流事業に貢献したいと思います。

 どうも有り難うございました。

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