日本で得た知識や経験
「美容を通して日本と韓国との
かけ橋になりたい」

 キム ウン ジョン
Kim Eun jung



  「ありがとうございます」、「おはようございます」これは私が初めて聞いた日本語です。小学生の時、親戚の叔母さんが私に教えてくれました。
その時耳にした発音がとても優しく聞こえて、いつか話せればいいなと思いました。
同じ頃、テレビで時代劇を見ていたら、珍しく日本人が出てくるシーンがありました。今でも鮮明に憶えていますが、侍の丁髷や裃、着物を着て顔を真っ白に塗った日本髪の女性にとても驚きました。
それは今まで見たこともない姿であって、私にはとても興味津々でした。
「私、あの格好やってみたい」、「面白そう」と言ったら、友達に「ええっ、おかしい」、「お化けみたいだからやめて」と言われました。
確かにちょっと変わっているなと思いましたが、それは日本の文化であって、日本のことがたまらなく好きになったきっかけでした。
それ以来、もっと日本や日本人について知りたいという希望を抱くようになりました。
 私の母は韓国で美容院をやっていますが、小さい頃から母の仕事ぶりを見て、母のように人を美しくして、個性を生かしてあげることに憧れ、美と関係ある仕事に従事したいと思っていました。
 それで、私は日本で美容の勉強をするために、まず、短期大学の日本語学科に入学し、日本語の勉強を始めました。
学校には4人の日本人の先生がいましたが、私はいつも明るく積極的に声をかけました。
「先生、おはようございます。お元気ですか」と言うと、先生からも「金さんはいつも元気いっぱいで笑顔がいいね」と返事を頂きました。
それが嬉しくて、ますます日本語の勉強が楽しくなりました。
学校へ行くときは、母からいろんなヘアスタイルにしてもらいました。
友達に「お母さんが美容師さんでうらやましいな…」と言われ、私も母の見よう見真似で友達にしてあげると、とても喜んでもらえました。
 大学を卒業してから私は2年半ほど、免税店の化粧品コーナーで働きました。
私が就職先に免税店を選んだ理由はふたつあります。
何とか頑張って留学資金を貯めたい私の意思を親に見せたかったことと、好きな化粧品を通して少しでも日本人と触れ合い日本語を勉強したいと思ったからです。
免税店で仕事をするなかで、大切なことをたくさん学びました。
いろんなお客さまをいつも笑顔で迎えて、明るく接することや化粧品を大事に整理整頓して買って頂く大切さを学びました。
 私は今、あこがれていた京都で、美容の勉強をしています。
百万遍にあるアパートから学校まで、毎朝30分かけて自転車で通っています。
京都の爽やかな空気を吸いながら鴨川を渡り、御所を通って学校まで行きます。
 学校に着くと友達が「ウッチャン、遠いところからえらくないの?」と聞きます。
私が「爽やかな気持ちよ!毎日、ただで観光できるからいいよ」と答えると、みんなに笑われます。観光だけではありません。
自転車に乗っている人々を見ていると京都人の生活や生き方まで肌で感じられます。そして、人々の髪型やファッションを見て、毎日楽しんでいます。韓国では車が優先されていて自転車の通る道がないので、そんなふうに人々を見たことはありませんでした。
 今、美容学校ではトータルファッションから日本髪の歴史や文化まで学んでいますが、日本と韓国では大きな違いが見られます。
日本は、カラーセンスやデザイン、そしてものを見る感性が優れていて、髪型にもそれぞれの個性が生かされています。
また、流行を敏感に取り入れながらも自分の個性を大切にしています。
 韓国から友達が遊びに来たとき、「男の人がピンクを着るなんて。パーマをかけるなんて。」と驚きましたが、同時に「とてもおしゃれで格好いいね」と言いました。
韓国では男性の髪は短く、服の色も黒やグレーなど落ち着いた色が好まれ、カラフルな日本のファッションとはとても対照的です。
女性はさらさらで、長い方が女らしくて美しいと言われ、みんな同じスタイルを真似する傾向が強いのです。
しかし私は友達の反応を見て、韓国人が今の状況に満足していないと感じました。画一的な韓国の美容に、日本の色彩感覚やデザインを取り入れてバラエティと個性を出せば、韓国にも幅広いファッションが見られると思います。
 また、京都ではよく着物姿を見かけます。私は着物が大好きで1年半以上着付けの勉強をしています。
韓国でもチマチョゴリだけでなく、着物も見られればいいと思います。
最近取った着付け師の資格を生かして、着物の美しさやその魅力を韓国人にも知ってもらいたいです。
 私は来年3月に美容師の資格をとってから国に帰ります。
母は今か今かと私の帰りを待っています。
日本にいる間も、いつも励ましてくれました。
帰ったら母が先生になりますが、一緒にずっと仕事をしようと思います。
私は、日本で習ったいろいろな技術や経験を生かして韓国に新しい美容文化を創りたいです。
そして、私が見た日本や私が知った日本を伝えて日本と韓国とのかけ橋になるつもりです。
 ご清聴有難うございました。

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