日本の青少年がうらやましい!
ジョン オンス
田 恩秀
 私が初めて日本語を習ったのは、今から九年前の高校二年生の時でした。
そのきっかけになったのが、当時私に文化的な衝撃を与えた日本のアニメでした。
色鮮やかな色彩、可愛くて生き生きとしたキャラクター、人を引き寄せるストーリーなど、今はジャパニメーションという名で世界の人を魅了させている日本のアニメの不思議な魅力にひかれて、独学で日本語の勉強をはじめたのです。

それからいろんなメディアを通じて、日本語だけじゃなく日本に関したものを聞いて、見て、感じることが出来たのです。
そんな中で私の視線を引き寄せる単語があったのです。
英語ではマニアとも言える「おたく」という単語でした。
その頃は熱狂的なアニメファンをけなす意味で使われたので、あんまり好きにはならない言葉でした。
しかし、だんだん年をとるにつれ、その言葉に、そんな人間に魅力を感じるようになりました。
自分の好きなものに対して徹底的に追求する姿勢の美しさと、好きになったものへの変わらぬ愛情が素敵だと思われたのです。
その「おたく」という言葉が今はいろんな分野で使われるようになったそうです。
そして今の私はマニアの進化したかたちがおたくだと定義したいのです。
私は日本語を勉強しはじめて以来、同年代のいろんな日本人に出会うことができましたが、みんな二つの共通点を持っていたのです。
一つ目はみんな日本の未来は暗いというのです。
しかし私は決して日本の未来が暗いとは思っていません。
その理由を今から話したいと思います。

 日本の青少年は学校教育の中でクラブ活動という放課後の時間があります。
個人の能力と適性を活かすという一般的な機能はもちろん、青少年の若さによった現在への不満、未来への不安、受験のストレス、そしてあふれ出す性的エネルギー、いわばリビドなどを少しでも和らげるのがクラブ活動だと思います。
もちろん私の国である韓国にもそんな制度がないわけじゃありませんが、上級学校に進学するための激しい競争の中ですっかり忘れられてさびれてしまった言葉の一つです。
それが日本では今も盛んに行われているそうです。中学校に入ってから自分の好きな分野、また興味のある分野を一つ選んで、それをずっと追求できるというのが私には羨ましい限りです。
アニメが好きだったらアニメ研究会、スポーツが好きだったら運動部、お茶が好きだったら茶道部、音楽が好きだったら音楽部に入ったり、バンドを組んだりファンクラブに入って好きな歌手とか芸能人とか、運動選手を応援することも出来ます。
これはクラブ活動とは言えないものでしょうか。
もちろんその中には途中でクラブを変えたり、勉強のためにクラブ活動をあきらめたり、何もしないでさまよう人もいます。
しかし私の見た限りの日本の青少年たちは、たとえそれが人生の何の役に立たないとしても一生懸命にその活動を続けました。
その分野を、その時間を誇りに思うのでした。
少なくとも彼ら、彼女たちは自分のやったクラブ活動の専門家として、またはサポーターとして、大人になってからも愛情を持っているのです。
そして、その中にはその経験を生かして自分の職業として生きている人もいます。
もちろんそうなるための彼らの努力は私たちの想像を遙かにこえるものでしょう。
彼らはいわばその分野の「おたく」になるために必死に努力しているのではないかと思います。
あんまり「おたく」という言葉は日本人にはいい感じとして受け入れないということは知っていますけれども、私はそのような努力が今の日本を築き上げ、維持していると思います。
特に二十一世紀を目前にした今こそ、「おたく」はもっと必要だと思います。
ほぼ同じ教育を受けて、ほぼ同じ能力を持った量産人間より、専門知識と経験、また情熱で武装した彼らがより多様化、専門化している時代をリードするという私の考えが間違いじゃないでしょう。
ちなみにそんな彼らの人生が幸せになるというのは間違いないでしょう。

 激しくなる競争の中でもクラブ活動という制度を保ち続ける日本の教育界と、そのクラブ活動を通じていろんな意味で豊かな人生を設計している日本の青少年たちがまさに羨ましい限りです。

 私の国である韓国も学院暴力、いじめ、学級崩壊、援助交際など、日本教育の暗い面だけ吸収するんじゃなくて、個人の個性と能力を生かせる斬新な教育制度をつくってほしいです。

 以上、つまらない話を最後まで聞いていただいたどうもありがとうございます。

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