韓国と日本の文化の違い −食文化を中心に−

パク ミスク
朴  美淑

 韓国と日本はとなり同士の国ですがどうして親しくなれないのでしょうか。
 これについては人によっていろんな考えがあろうと思います。
 今日は私の個人的な考えをこの場を借りて話させていただきたいと思います。
 韓国では漸進的に日本の大衆文化を開放することになりました。
 日本語が専門の私にとっては本当に嬉しいことには違いありません。
 しかしもう少し深く考えてみるとなぜ日本の文化だけが21世紀を向かっている時代に,今ごろになってはじめて開放されたのでしょうか。
ここには否定しがたい歴史的事実があることに気づきます。
でも私はここで過去の事が言いたいのではありません。
過去における韓・日関係は個人的に解決できる問題ではないと思っているからです。
 ただ残念なことは,過去にしばりつけられて一つの国を理解しようにも,一番大事な文化というものをろくに受けとっていないことです。
 それで今日は短い日本生活に基づいて韓国と日本の大きな文化の違いについて特に食文化に対して話させていただきます。

 皆さまもよく存じていらっしゃるように韓国も日本と同じように米を主食として汁とおかずを食べています。もちろん汁とおかずは日本とかなり違います。
しかしそれよりも食事習慣の違いはもっと大きいと言えます。

 たとえば日本は食事の時,茶碗を手にもって,時には食器を口に直接つけて食べますが,韓国ではこのような食べ方は絶対許されません。
もし日本のような食べ方で食べたら行儀が悪いといってさんざんしかられます。
 韓国の食事は,茶碗を手に持たず,そのままテーブルにおいて匙ですくい取ってたべます。
だから食器が重くてもかまわないので茶碗の材料も木ではなく陶器とか鉄でつくられているし,また箸も家庭で一般的に使っているのは鉄でつくったものです。
 また日本は箸だけを使いますが韓国では匙と箸の使い方に区別があって ご飯とお汁は匙で,おかずは箸で食べなければなりません。
もちろん最近では箸でご飯を食べるなど,すこしずつかわってきてはいますが,正式の食べ方は先に話したとおりです。

 もう一つはお客さんといっしょに食事をする時,日本はお客さんがまず箸をとって食事をはじめるのを待ちますが韓国では必ずしもそうではありません。
 お客さんとしても自分より年の上の人がいるとその人が匙を取るまで待たなければなりません。
つまり韓国ではいつも年が基準になっていて,一番年上の人がその場において中心となります。
 これは一般家庭でも同じで,父親が匙を取ってから家族の食事がはじまります。
 もちろん祖父母がいる時は祖父母がまず食事しなければみんなそのまま待っているのが韓国の食事の正しい礼儀です。

 今話したことは日常生活の中でお互いに誤解を起こしやすいところです。
 このように自分の国では許されることが他の国では通じないところが多いです。
だから文化といのは単に文化の範囲ですむことではなく、外交にまでも影響を及ぼすと思います。
時々聞こえてくる韓・日間の不協和音もお互いの文化を自分の立場から理解しているからなのではないかと思います。
言葉が通じるといっても相手国の文化をろくに知らないままでの外交というのはいつかは問題を起こすのではないでしょうか。

 たとえば日本語の表現の中にだれかがたのんだことについて「考えてみます」と返事をしたらこれは拒絶の意味が強いのですが,韓国人は「考えてみてO.K.する可能性がある」と受け入れる傾向が多いです。
これもやっぱり言葉それ自体の意味を理解するより言語生活という言語文化を知らなければならない一つの例だと思います。

 新しい二十一世紀に向っている今日このごろ,韓国と日本は過去のしがらみを洗い流して今よりももっと友好的関係を作っていってほしいのです。
このような関係改善に少しだけでも役に立つのではないかと思って両国の文化の差について話しました。

 もしこの五分の短い時間を通して少しでも韓国を理解する助けになったとしたらこれ以上嬉しいことはないと思っています。

 下手な日本語を最後まで聞いてくださいまして有難うございました。


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