2008年外国人による日本語弁論大会 発表原稿
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「伝えたい平和の思い」 バ イチダン
中国
 肌寒い日が続き、すっかり秋の訪れを感じます。
私が日本語を勉強し始めたのもこんな秋の日でした。
中学生だった当時、日本語を教える日本人の先生がいました、そのときから日本人と接するチャンスがありました。日本語先生の授業の前に、ある中国人の先生は突然こう言いました。

“みなさん、私たちの国と日本の間に昔戦争がありました。戦争のことについて話すとしたら、どのように日本人の先生と話しますか?”

教室に座っている私たちは黙っていました。
なぜならば、どのように話せばよいのかわからないからです。
そうです、私の出身地は日中戦争のときの満州国のあったところです。柳条湖事件の発生地柳条湖は地元の北部にあります。
私たちは小学校のころから、学校で平和教育を受けました。
戦争でなくなった人の慰霊碑を見たり、資料館を見学したり、先生の話を聞いてクラスでミーティングをしたりしました。
そのときの習ったのは近代中国の戦争の歴史は中国でもっとも恥ずべき歴史だというです。

“当時の中国は弱いからいじめられていた。いじめられた私たちの国民は惨めな生活を送ってた。国を強くするために私たち若者はもっと真面目に勉強すべきである。国が強くなれば、戦争をやめられ、みんなが幸せになる。”そういうふうに教えられました。

私たちには昔の侵略者へ恨みと、しかし、一方では、日本のすばらしい技術への憧れもあり、日本に対する感情は複雑でした。

そのとき、中国人の先生は言いました。

“そのような話題は避けたほうがいいと思いますよ。トラブルの元になるかもしれませんから。”

先生の言ったとおりに 私はあれ以来、つい最近まで、戦争の話題をタブーとして避けていました。

高校卒業後、私は日本に留学しました。
日本に来て、たくさんの日本人友人や知り合いができました。しかし、戦争についての話は一度もありませんでした。

今年の九月に、私は大学生協連合会が主催した平和企画“Peacenow 沖縄” に参加しました。
日本全国の大学生が沖縄に集まて、現地の大学生ボランティアと一緒に沖縄に残っている米軍基地や平和祈念公園、戦争について話し合ったりしました。
その企画に参加したのは今回弁論大会に出場するきっかけになりました。

沖縄の米軍基地を見学したとき、私は考えさせられました。
日本は科学技術や経済力を持った大国なのに、なぜ米軍基地があるのでしょうか。
アメリカの軍事力や経済力はさらに強いのに、なぜかテロ事件がなくならないのでしょうか。強くなれば平和になるという考えが間違いなのではないでしょうか?

そして、平和祈念公園を見学したとき、私はびっくりしました。
慰霊碑には沖縄戦でなくなった日本兵の名前だけではなく、敵であったアメリカ兵の名前も刻まれました。
日本人の方は家族を奪った人に対する恨みよりも世界平和を望んでいることを強く感じました。
そういえば、中国での平和教育はずっと被害者としての平和教育でした。
戦争というのはいじめられることと考えている人がたくさんいます。
戦争の怖さより、いじめた側への恨みを抱かせるかもしれません。それは自己中心的な平和教育であって、本来の教育目的とずれいるのではないか、と私は思っています。

“Peacenow 沖縄”で知り合った琉球大学からのボランティア麟君に“戦争がなくなると思いますか”、と聞くと、彼はこういうふうに答えました。

“戦争は人間がつくったものですね。みなさんが、平和を望んれば、少なくとも戦争は減ると思います。
だから、僕はボランティアになって、ここで全国の大学生に戦争の怖さと平和への思いを伝えます。
皆さんが自分の学校に帰り、周りの知り合いにも伝えれば、平和への思いが広がりますね。”

私も平和への思いを伝えたいです。
私は国に帰ったら、今までの学校の平和教育と違う視点から平和のへ思いを伝えたいです。
いじめられるのがなくなっても、戦争がなくなりません。
強くなれば、戦争がなくなるとはかぎりません。
戦争の中では、みんなは被害者になるということを伝えたいです。

京都に帰っても、沖縄での白熱した討論の光景が時々頭の中に浮かびます。
日本の若者でも、平和に関心がありますね。
身近で、何かできることがないのかなぁ、と私は考えました。
今、私は京大留学生委員会の委員長を勤めています。
学内の情報誌の「留学生Times」のページを担当しています。その中に平和について考えるコラムを設置してはどうかと思いつきました。委員会のメンバーと一緒に、このようなコラムをつくり11月号に掲載しました。日本人の学生たちにも世界からの平和への思いを伝えたいです

この弁論大会に参加したのも、もっと多くの人に平和への思いを伝えたいからです。
皆さんも私たちと一緒に、平和への思いを世界に伝えませんか?


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