2008年外国人による日本語弁論大会 発表原稿
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「夢に向かう、楽しめる場所」 シン ジンウォン
韓国
 はじめまして、韓国のソウルから来ました。シンと申します。

何ヶ月か前、京都で弁論大会があるということを知った私は「日本での経験を生かすために」というテーマを前に頭を抱えて何時間も悩みました。
そして得た結論はあまりにも簡単で、身近なものでした。
それは私を日本へと導いてくれた‘マンガ’をテーマにすることです。
そう言う事でこれからマンガと私のお話をさせていただきたいと思います。

私は現在、日本の大学でマンガを勉強しています。
‘楽しむべきのマンガを詰まらなく勉強する’と言うことに少し語弊を感じる方もいらっしゃると思いますが、マンガと関ってくるとあの堅苦しい勉強さえもとても楽しいものになるのです。

世界のどこで聞いても日本のマンガが一番だと言うことには誰もが頷くはずです。

私の国韓国でも日本のマンガは断然トップで、テレビジョンで放映するアニメーションや単行本のマンガの対半数は日本のものです。
それにオタク文化のようなのマニアファン層もあり、また子供たちの間ではやるおもちゃやカードゲーム等も日本のマンガから商品化された物がほとんどです。

このように日本のマンガは色々な部分で影響を及ばしているのです。

その影響を受けたのか私も子供の頃からマンガが大好きで、多くの子供たちがそうであるように教科書よりもマンガを読みたがっていました。
マンガを読むことで教科書では得られない想像力や感動を覚えては私も将来こんな面白いマンガを描きたいなと思うようになりました。
しかし残念なことに 大体の親たちがそうであるように私の親も「マンガを読む時間に教科書の一ページでも見なさい」と言っていたのです。

先生からも親からもそんな反対の言葉ばかり言われた私は悩み始めました。

‘先生も親も、いや、大人って皆マンガが面白くないのかな..。こんなに楽しい物語に色んな人物と世界がマンガの中にはあるというのに。’

そんな疑問を抱き始めた頃私は日本に気が付きました。
憧れ続けてきた「マンガ」の原点となる国。
あの国で一体マンガはどのような位置を取っているのか自分の目で確かめ、触れてみたいと思った私はやがて大学進学の形で日本を訪れる事が出来たのです。

そしてここからの経験は私の疑問をクルッと逆転させ、うれしい答えを見付けさせてくれました。

まず見て驚いたのは「書店でのマンガの存在感」でした。
どこの本屋に行ってもマンガは自分のスペースを確保しています。
いくら小さい本屋でも‘今週発売のマンガ雑誌’や‘新刊の単行本’をズラリと並べておいています。
マンガ専門の店は勿論、専門の古本屋まであったのにもビックリせざるお得ませんでした。

次に私の視線を奪ったのは、「マンガを読む人々」でした。

マンガとは読むものなので一見当たり前なことにも見えましたが、その‘当たり前さ’に私は驚いてしまったのです。
購入して家で読むのは勿論、喫茶店のなかや電車の中、そしてコンビニでまで日常のようにマンガを読んでいる人々。
しかも、その大半は「マンガを嫌うはず」の大人たちだったのです。
仕事帰りのサラリーマンや子供に厳しそうなおじいさん、おしゃれなお嬢さんまで。
人目を気にせずマンガを楽しんでいるその姿は私にとっては‘親からマンガを勧められたかのような’新鮮な衝撃でした。

最後に、日本に来ての一番の驚きは、大学での勉強を通じ知った「マンガの数」でした。

皆さんの中にもマンガがお好きな方かいらっしゃると思いますが、残念ながらこんなに面白いマンガを全部楽しめるに人生は短過ぎるのかも知れません。
ここ京都にある国際マンガミュージアムに行くとそれはさらに明確に感じられます。

壁の隅まで埋める本棚にいっぱいのマンガ。
想像も付かないほどの数のマンガがこの世にはあるということにひそかな胸騒ぎを感じました。

日本で色んなことに触れ合い、大学で学んでいく内に自分の知っていたマンガは氷山の一角だった事を知りました。
そしてもっとも大事なことは‘楽しむこと’だと言うことが分かりました。
好きなマンガを思い存分楽しむことができる、だからこそ日本ではいいマンガが沢山生まれるのではないのでしょうか。

日本に来る前の私は、マンガを読むのは子供みたいな事だと言われたりマンガを他の文化より低く見られたりする中で知らず知らず萎縮されていました。
しかしここ日本に来て感じて経験した全てに私は胸をはって夢に向かうよう励まされたのです。

私はこれからもここ日本で色々なものを感じて学び、誰もが楽しめるマンガを描きたいと思います。
そして日本で経験したこの楽しいマンガの文化を世界中に広げていきたいと思います。

これで 私のスピーチを終わります。
ご静聴ありがとうございました!

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