2007年外国人による日本語弁論大会 発表原稿 |
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「急がば回れ!」 |
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ドー グエン ナム クアン ベトナム アルバムは下です。 |
日本のことわざにはこういう言葉があります:「急がば回れ」。
急ぐときにこそ危険な近道より、遠くても安全で本道を通るほうが結果的に速いのです。 「安全で着実な方法を取れ」という教訓です。 その語源を探ると室町時代にありました。 当時、都の京都に向こうには近くて速い琵琶湖を横断する海路と、瀬田の唐橋を経由する陸路の二つがありました。 海路の方が速いがその分比叡山から下ろされる突風による危険性が伴うことに因んで、人々は上のような結論に至りました。 僕は来日して7年余りが経ちました。7年間の間、日本の社会、日本の人々から学んだことは山ほどあります。 しかしその中で僕にっとて最初で、最大の教訓と言うとやはりこの言葉です。 日本に来る前に勝手ながら僕は日本をすごく慌しい国だと想像しました。 人々はきっと激しく動いているだろうと思いました。 それもそのはずです。 日本の100分の1程度のGDPだけを作り上げるために、ベトナム人は皆多忙な毎日を送っているから、 日本人はその100倍に違いないのだ。 しかし成田空港に上陸した僕が最初に見た日本人はとても穏やかでした。 人々の顔に僕が想像した慌しいさが浮かんでいませんでした。 入国手続きなどを行う時、人は綺麗に列を並べて、ゆっくりと前に進みながら自分の順番が回るのを待ちました。 だけど不思議にも全てがスムーズに進んでいました。 ベトナム第一空港であるタンスニャット空港と比べるとまさしく雲泥の差です。 その時から僕が疑問を抱くようになりました。 「なぜ日本ではゆっくりしても仕事ははかどるのか?不思議だ」 やがて僕はアルバイトを始めました。友人と2人で同じ工場に勤めることになりました。 自己紹介など済ませてから、リーダー役の人が僕らに最初に言ってくれた言葉は:「ゆっくりでいいから安全を第一にしてください」。 正直びっくりしました。 ベトナムにいた時に僕らはこのように「ゆっくりして下さい」と言われたことは殆どありませんでいした。 「速くしてください」という言葉の方が圧倒的に多かった。 「遅くして下さい」なんて一度も聞いたことがありません。 「絶対この工場、怠け者ばかりだね!」と僕らの意見は一緒でした。 仕事では僕らがよくお互いのペースを競い合っていました。速く仕事できる方が上だと思っていました。 僕の方が若干上でした。 そこで、ある日「急いでるのでサボらずにやっといてね」と言われてある仕事を任されました。 案の定、僕らはまたどっちの方が速く終わるかという会話で仕事をすすめました。 しかし1時間ぐらいが経ったところで僕の方が大きな失敗をしてしまいました。 リーダーの人がやって来て、僕にこう言いました:「速くしようとという気持ちはすごくいい。だが今のように失敗したら全てがぱあだ。急ぐ時にこそ慎重にやるんだ。急がば回れ!」。 僕はその時にはじめてこのことわざを耳にしました。 そしてその時僕が悟りました。 そうだ日本では物事が慎重に行われているから、ゆっくりのように見えるが結果的には全てが速く進むのだ。 それから僕は注意深く日本人を見るようになりました。 工場では急いで人は走ったりしません。 怪我をしたら大変ですから。 道では皆まじめに車線を守り、むやみに追ったり、スピードを出したりしません。 事故でも起こったら遅れるところでは済まないからです。 どこを見ても慎重な姿の日本人しか見えませんでした。 これだ、これこそが豊かな日本を支える材料だと思いました。 「急がば回れ」、僕はいつしか毎日のようにその言葉を自分に言いかけました。 ベトナムは今経済発展に力を注いでいます。早く貧困から脱出しようと国を挙げて皆頑張っています。 しかしあまりにもスピードを重視するせいでさまざまな重大な問題が発生しています。 森が悲惨な姿になっています。川は工業排水でいっぱい。 海の魚に仕掛けるダイナマイトが珊瑚礁を殺しています。 野菜には農薬が残っています。資源は枯れ始めています。 環境は最悪な状態に落ちていて、人々の生活に直接影響するようになりました。 悩ましい問題ばかりです。全てが慎重さが足りないところに原因があると言えるでしょう。 僕はリーダーさんが言ってくれた言葉を思い出します。 「速くしようという気持ちはすごくいい。だが今のように失敗したら全てがぱあだ。急ぐ時にこそ慎重にやるんだ。急がば回れ!」 僕がこの身をもって経験したこの教訓を彼らにも伝えたいです。 いつかベトナム人も日本人のように慎重に物事を行うようになって欲しいです。 日本をここまで導いてくれたその材料はきっとベトナムにも使えるはずです。 |
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