納豆の味
中国から龍谷大学に留学中の唐寧寧さん(トー ネイネイ:24才)が日本に着いて最初に挑戦したのは、納豆を食べることだった。
中国の学生から納豆の味を質問され、「まずいですよ」と思わず答えたのを後悔していた。
実際には納豆を味わった経験がなかったからだった。
初めて納豆を口に入れて、顔をしかめた。
「本当にまずい」。
どんなまずさなのか言葉で説明できない。
吐き気を覚えた。
でも、今では「おいしいよ。大好き」。
納豆のまずさを知ろうと、二度、三度と食べているうちに、いつしかおいしいと感じるようになったのだという。
京都市国際交流会館で先日開かれた「外国人による日本語弁論大会」で、表情豊かに話す唐さんの納豆体験を聞いた。
知識や情報を頭に入れただけでは、異なる文化を深く知ったことにはならない。
さわり、においをかぎ、味わい、体の中に入れてみる。
それが異文化を理解する第一歩ではないか、との主張だった。
グローバリゼーションの象徴のようなファーストフードと違い、地域固有の食べ物は、とっつきにくいことがある。
しかし、この食べ物は地域の生活文化そのものなのだ。
弁論大会でキルギスの少女が伝統の料理ベシュマルクを紹介し、韓国の留学生は「うどんにキムチはいかが」と勧めた。
いま、とても大切なメッセージのように思えた。
イラクの人たちが何を食べているのか、私たちは知らないでいる。
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