2003年外国人による日本語弁論大会 発表原稿
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「日本での経験をいかすために
−環境問題を通して」
チョウ ケン
 私は、ずっといつか日本へ行きたいという考えを漠然ともっていました。
 中国では短大で日本語と経済を学びました。
 それというのも、私が子供のとき、日本の映画やドラマ、アニメなどをテレビでよくみていたからです。
 日本は最も身近に感じられる外国でした。

 しかし、卒業するとすぐに就職しました。
 営業や日本語の通訳、翻訳などの仕事をしているなかで日本の方々と多くの出会いもありました。
 特に印象深かったのは、内モングルでの日本人ボランティアの植林の人たちとの出会いでした。
 その時、日本人がわざわざボランティアで中国まで植林のためにやってきたことに驚き、日本人の環境問題に対する意識が高いことに感心しました。

 そのときから、自分の国の環境問題について考え始めました。

 当時、買い物の時にもらう白いプラステック袋が道端に捨てられ、ひどいところでは、「白いゴミ」ばかりでした。
 テレビ、マスコミもこのことを取り上げ、ゴミ削減の対策について連日訴えるようになりました。
 消費大国の日本はどうなっているのかをとても興味がありました。

 そして、私は環境意識の高い日本で、環境対策やその過程を学ぶため、日本への留学を決意したのです。

 しかし、来日して、日本の空気は決してきれいだとは感じませんでした。
 中国の空気とかわらないと思いました。ところが、2年ぶりで中国へ帰国したとき、北京の空気がとても汚く感じました。
 そして休暇を過ごし再び日本に戻ってきたときに、改めて日本の空気がきれいであることを発見したのです。

 北京は京都とともに悠久な歴史を持つ都市です。
 しかし、皆が知っているように、毎年春になると、日本で桜がきれいに咲いているのにたいして、北京では、黄砂の季節となっています。
 その原因のひとつは、巨大な人口を養うため、耕地を拡大するため森林を無計画に伐採していることがあげられます。
 また、現在の中国は経済成長に力をいれていますが、世界各国の企業の中国への移転につれ、中国は「世界の工場」になっています。それに伴い、環境問題も生じてきています。

 日本でも、高度経済成長期の過程で、深刻な環境問題が起こっていました。
 かつて、四大公害が深刻な被害をもたらしました。その結果、規制が厳しくなり、公害が減少しました。
 北九州市は公害の町から環境保護のモデル市にまで発展しました。
 また京都議定書のような世界に注目を浴びる協定発表をすることなど、日本は環境保全への努力が認められます。
 環境問題で中国にとっては、日本から学ぶべきものがたくさんあると私は感じています。

 現在私は大学で、日本の特定の地域をとりあげ、その地域での工業化の発展にともなう環境問題の状況と、環境対策について調べています。
 その結果から今後の中国の発展に伴う環境問題への対応について考えていきます。

 モデル地域の住民たちに環境意識調査のアンケートを取りました。
 予想よりも高い回答率が得られました。
 また、私に対しても
 「頑張ってください。私達がやらなければならない事を。よろしくお願いします。」
 「論文頑張ってください。」
 などの応援の言葉をいただいて、ほんとうに胸が熱くなりました。


 私は日本での留学の経験を活かし、中国で環境問題と対策に関する研究を行いたいと考えています。
 特に、外資企業は生産部門の移転だけではなく、環境に配慮した技術の提供や、環境への意識やこれまでの環境公害の経験を中国側へ伝えることが、重要であると考えます。
 また、中国は、持続可能な発展の道を歩んでいけるよう、努力することが必要です。
 そのため、日本企業が環境に配慮した技術を中国へ伝えられるよう、企業の環境改善のための対策や、市民の環境に対する意識を高めるための教育事業に関わっていきたいと考えています。
 そして、いつか、私のふるさともきれいになれることを信じて頑張っていきます。


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