2003年外国人による日本語弁論大会 発表原稿
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「うどんにキムチはいかがですか」
キム ウンギョン
 みなさんは「近くて遠い国」と聞いて何を想像しますか。
 私は日本と韓国の事を思い出します。
 日本と韓国は飛行機でたった2時間しかかからない、こんなに近いところにいながらも、お互いに感心をもてないからです。
 それは、これまでの長い歴史上の事実があるからでしょう。
 また、同じアジア人として外見や文化が似ているために、かえって微妙な違いをお互いが理解できないのも大きな原因かも知れません。

 今現在日本には韓国に興味さえない人もたくさんいます。
 そして韓国にも日本が嫌いな人はたくさんいます。
 ですから、私は日本では韓国人として差別されたことや辛い経験もあり、韓国に戻っても、日本に留学していると言うことで、非難される時もありました。
 次のエピソードを聞いて下さい。

 私は今までいろいろな所で留学生交流会に参加してきました。
 そこで日本人の目をひくのは、どういう人だと思いますか。
 それは当然、見た目から外国人だとすぐ分かる欧米の人々でしょう。
 誰も韓国人である私に、自分から話かけたり、興味を持ってくれる人は一人もいませんでした。
 どうしてこのようなことが起きるのでしょう。
 欧米の国々がアジアの国々を見るような視線で、日本は中国や韓国をみているのではないでしょうか。

 もう一つは、皆さんも一緒に考えてみてください。
 レストランで韓国人のウェイトレスとフランス人のウェイトレスが、お客さんの注文をちゃんと聞き取れないで、間違った物をだしてしまいました。
 こういう時、みなさんはどちらの人に笑顔で“大丈夫だよ”といってくれますか。
 おそらく、フランス人に対して怒る人はいないでしょう。
 それは、見た目からも外国人だということがすぐわかるからでしょう。
 一方韓国人に対しては、一見みると日本人と同じに見えるので、違いを理解できずに、怒ってしまうのでしょう。

 しかし、去年の一番大きな出来事である日韓ワールドカップ共同開催のおかげで、私はとてもいい経験をしました。
 最初は共同開催ということに不満をもっている人々が多く、形だけを重要視する、まるで表面上だけの共同開催に過ぎませんでした。
 でも、ワールドカップが始まってからは国を越えて、言葉が通じなくてもみんなが同じユニフォームをきて一緒に応援しながら、喜んだり悲しんだりしていました。
 そして、まさかと思った自分もしらずしらずのうちに日本を応援しているということに気づきました。
 私はその時感動さえ覚えました。ワールドカップの後、日本は韓国に興味がたかまって、テレビやラジオでも毎日のように韓国のことが放送されるようになりました。
 日韓ワールドカップというイベントを通して、政治的な形だけではなく、日本人や韓国人、ひいては世界中の人々の心が一つになれたと私は思います。

 それだけではありません。
 実は去年の冬、私には日本人の彼氏ができました。
 付き合い始めの頃は、今まで育った環境や考え方の違いが理解できずケンカばかりの毎日でした。
 しかし、
“絶対自分の文化が正しい”
“貴方の国の考え方がおかしい”
という気持ちを捨てると、
“こんな文化やあんな考え方もあるんだな”
と理解し合うようになりました。
 そして、今年の7月は日本の伝統的な祇園祭に浴衣を着て、日本人の彼氏と一緒に京都の街を歩きました。
 その時私は心から小さな幸せを感じ、またこれこそがまさに生の異文化交流だと思えたのです。

 これをきっかけに、日本にとっての韓国が「近くて近い国」として、これからは一つの食卓で一緒に、納豆を食べる韓国人とトッポキを食べる日本人、そして何年カ後は食堂で「アジュンマ、ウドンヘ、キンチジョンチュセヨ」「おばちゃん、うどんにキムチ入れてちょうだい」、という日本人と韓国人の姿がみれるようになればいいなと思います。
 みなさん、うどんにキムチはいかがですか?


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